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伊豫漫遊書庫(Blog)

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河野氏と湯築城について

 河野氏は源平の争いの時にいち早く源氏に味方し、初めて歴史の表舞台に登場する。以後、蒙古襲来の時、南北朝の争乱の時等、日本歴史の激動期には必ず登場し、中世全期間、約450年にわたって活躍した。戦国の敗者となったため影が薄い嫌いがあるが、もっと注目されて良い存在である。
 湯築城は14世紀の前半に河野通盛の時代に築かれたと伝えられ、築城者ははっきりしないが以後250年間にわたって、伊予の守護であった河野氏の本拠であった。築城200年後の16世紀前半に拡張されている。先般その拡張部分の一部が発掘調査されたが、貴重な遺物・遺構が出土し、中世城郭の常識が覆ったと聞く。出土品の量は西日本随一で、質的にも考古学者を驚かせた貴重な品が発見されている。
 戦後の宅地開発等で市街地にあった城跡の多くが消滅している中にあって、湯築城跡は良好な保存状態で殆ど丸ごと残っている希有の例である。松山市は近世城郭の松山城と中世城郭の湯築城跡の二つを有し、しかもいずれも極めて良い状態で存在する。こんな都市は他に見当たらず、奇跡に近い。お城ファンにとっては垂涎の的である。
 道後と言うと温泉ばかりに目が行くが、全国的にも貴重な文化遺産である道後湯築城跡を広く知って貰うことを願って、河野氏と湯築城を様々な角度から紹介したいと願っている。


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